札幌夜景観光ガイド
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〈平野ノラ〉札幌ラブストーリー

毎週月曜よる9時更新

episode 1 始まりは
ショルダーホンから

1988年12月23日、ノラは有頂天だった。外資系広告代理店勤務とはいえ、彼女のセクションは総務。クリエイティブや営業の社員が大手企業の案件を抱えて年末進行で連日深夜まで働いているのを尻目に、ノラは19時に会社を出た。

「六本木はもう田舎者の街だから」

という女友だちの提案に同意し、二人で芝浦のカフェバーへ。カウンターでダイキリやマティーニを飲みながら、女友だちの彼氏がF1の話ばっかりで正直使えないんだけど

まあまあお金持ちだから付き合ってるのよなんて話を聞き、ノラは内心こっちの彼氏のほうが勝ってるわねと余裕の笑みを浮かべてグラスを重ね、結局二人でいかに私たちがイケていて、世の中いかに中身のない男たちばかりかという話で盛り上がった。

タクシーでマンションに帰宅したのは深夜1時。

「明日いや今日はイブかあ。プレゼントは、きっと前もっておねだりしておいた3連リング。

ディナーは?お泊まりは?楽しみー!」
商社マンの彼氏と過ごすイブの夜を思い描きながら、

「花金だからいいよね」
と冷えたシャンパンを開けた。BGMは魅惑のユーロビート。一昨日のディスコの熱気が蘇る。

「素敵なイブに乾杯」
とグラスに口をつけたとき、突然ガラステーブルに置いていたショルダーホンの呼び出し音が鳴った。
「しもしも〜」
ノラは陽気に応えた。

「もしもし

聞き慣れない深く優しい声がする。

「きみを探していた。イブの夜、きみに会いたい」

「えっ?!あなたは誰?」

と応えたとき、一瞬ノラは不思議な光に包まれた。青い光の中で身動きが取れないノラ。光は一気に加速し、ノラはこれまで体感したことのないスピード感に支配された。

「私どうなっちゃうの〜?」

眩い光の中でノラは気を失った。